一風変わった机上ミステリー。勝敗はいかに?「天帝のみはるかす桜火」かなり面白い
「天帝のみはるかす桜火」を読んで。
作家の古野まほろさんを、ご存じでしょうか。この本はかなり趣向を凝らしていて目新しかったので、単体でのご案内です。
これは、6編からなっています。私が最も面白いと思った1編と2編、4編をここでご紹介します。
1編 古野まほろ、美香と出会う
古野まほろという作家と同名の主人公です。
オーディションが近づいたある吹奏楽部の夕方練習の後。
わたしは部室に戻ろうとした時に、同じ部員が学校内でトランペットを盗まれてしまったのです。
一体誰が?なぜ盗んだの?トランペットは無事なのかしら?
シャギーボブの峰葉美香は、まほろに盗まれた事を相談しました。
すると話を聞いただけで、まるで机上探偵のように一通の手紙をまほろから渡されます。
まほろは、すでに犯人がわかってしまったようです。
鮮やかすぎる謎ときには、目が離せません。
さあ、あなたはこれらの謎を解けましたか?
2編 修野子爵令嬢襲撃事件
柘榴館に住む令嬢、修野まり(ホウルダーネス)はかなり人とは違った生活をしています。
生活だけではなく、血筋も変わっていたのです。
まりの青い血とは、一体何なのでしょうか?
プルトニウムのメタトロン像があること自体、庶民の私には信じられませんが果たしてメタトロン像は守れるのでしょうか。
峰葉美香は、学校の帰りにまりのリムジンに突如乗ることになりました。
そのまま社会科見学がてら、姫山署に一緒に行く事が車中で決まりました。
姫山署で事件が発生します。いきなり副所長がテロリストに打たれてしまい、我々は一か所に集められました。
青い血のまりはどうやら死なないようですが、美香は果たして大丈夫なのでしょうか。
また、人質の中に犯人は混ざっているのでしょうか。誰を一体信じたらよいのか。
真犯人は誰?
あなたはこの続きを、知りたくありませんか。スリリングで、さらに仰天のエンド。
読み応えありです!
4編 「あとは両替にでも入るしかないな」
このお話は、東京駅の中で起こった話です。
舞台は東京駅チカの喫煙所から始まり、大規模書店のカフェへと移ります。
かなり興奮しっぱなしの思考の勝負!
修学旅行生で東京にやってきたセーラー服の少女は、物凄い観察眼で思考の持ち主なのです。
そして、喫煙所で出会った人が警視正である事を見破りました。
少女が「論理的に考えれば、私たちは今『尋常ならざる犯罪』を現認したといえる」と言うので、警視正は少女とレモネードを飲みながら話を聞く事に!
その『尋常ならざる犯罪』とは、喫煙所にいたもう一人の挙動不審な男の事なのです。
私は読んでいて、一つずつ命題を解いていくのがかなり面白かったです。
また、物怖じを全くしない少女の話し方や人をおちょくる所は、ただ者ではありません。
他に類をみない登場人物なので、魅了されます。
こんな少女がそばにいたらと思うと、終始心が休まりませんね。
警視正の「同意する」という言い方や、並列理論など目新しくて楽しく読ませてもらいました。
さてこの勝負、一見片方が有利に見えますが結果はいかに?
どちらが一枚上手だったのでしょうか。そしてこの女の子の正体は?
あなたは、この謎を解いてみたいと思いませんか?負けず嫌いの方、ワクワクしますよ。
まとめ
どれも面白いです。私の中で、かなり大当たりな本でした。
そして登場人物が重なり合うのも、読者からすると嬉しい事です。
他の作品にも登場するので、楽しさ倍増ですよ。
ここ一年で読んだミステリーの中で、3本の指に入る作品です!ぜひ、堪能してくださいね。