asagi diary

浅葱色が好きな筆者が、夢中になる絵本や小説のこと、猫のことを発信する雑記ブログ

美術に興味が湧く事間違いなし!新感覚。美術小説 原田マハ2選

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 美術に関する小説と言ったら、原田マハさん。私は本当に時々、興味がある展示があった時に美術館に行く程度ですが、絵は好きです。小説を読んでいて、その中で知っている絵が登場すると素直に嬉しいし、私は絵は好きだけれども、よく知らないんだなと思います。そしてもっと知りたいとも。知らない作品は調べてあぁこの人は、こういう絵についての考察をするんだと感心するし、絵の背景を垣間見れるので、面白いんです。そんな、絵に関する事がたくさん出てくる本だけでも興味が持てるので、美術館に行くのが楽しみになりますね。間違いなく、目が離せませんよ。

 

1.楽園のカンヴァス

 表紙はアンリ・ルソー 「夢」が目を惹きます。私は考えた事はありませんでしたが、この絵の女性が指を指しているのは、何だろうかと皆さんは疑問に思うのでしょうか。

 私はあのアルバイトは面白そう、ずっと絵が見れるからと、気になっていた美術館の監視員。そのお仕事をしている人の話です。しかし、主人公の早川織絵はただの監視員ではありませんでした。プロでした。

 ニューヨーク近代美術館のキュレーターのティム・ブラウンが、大邸宅に行った時に、ある絵を見て驚きます!なぜならそれは「夢」とそっくりなのですから。

これの真贋を見極めてもらいたいと言われます。作品の調査期限は七日間。ティムとバイラーの2人で競い合い、勝った方には本作の「後見人」として、取り扱い権利を譲渡しますというのです。

 さて、結果はいかに?あなたはこの結末を知りたくありませんか。山本周五郎賞受賞作。

 

2.モダン

 ニューヨーク近代美術館MoMAを舞台に、繰り広げられる様々な思い。モダンアートは、私は今まで興味を持たなかったのです。原田マハさんの本を読む事で見てみたいなと、もしかしたら興味が持てるかもと思った事が、この本を手に取った理由なんです。6編から成っていて、その最初の1編「中断された展覧会の記憶」をご紹介します。

  しょっぱなから、思い出したくもない東日本大震災の話です。その時に、美術品『クリスティーナの世界」アンドリュー・ワイエス作がふくしま近代美術館に貸し出されていました。

 主人公の杏子は、ボストンで生まれ育ちました。ニューヨーク近代美術館の展覧会ディレクターという役職です。そこの館長より、「クリスティーナの世界」を引き揚げるために、杏子がふくしま近代美術館に行く事になります。目に見えない危険な場所かもしれない中、行きました。

 「クリスティーナの世界」が大丈夫だったけれども、美術館の天井の一部が剥がれ落ちたり、展示していた陶器など一部に破損がありましたが、幸いにもけが人はいなかったとの事です。この様な状況下での、キュレーター(学芸員)の立場や気持ちもわかりました。一枚のラベルへの思いも、深いなと感じました。

 クリスティーナは、病のせいで足が不自由だけれども、常に前向きな彼女の生き方をされた事がわかりました。その絵の背景を知る事で、そういう前向きな姿を絵に現したかったのだと、わかります。絵を見る視点が変わってきます。

  真由ちゃんが「クリスティーナにいっぱいいっぱい、話したよ。」という場面が、そんな人もいるんだとびっくりしました。というのは、私は絵を見て語っただろうか?いや、感想はあったり、なにか胸から湧き上がるものがありますが、話した事はなかったなって。今度、話したい事があれば話してみようと思います。