asagi diary

浅葱色が好きな筆者が、夢中になる絵本や小説のこと、猫のことを発信する雑記ブログ

思春期に読んでほしい、命について考えさせられるミステリー。厳選3冊。

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 今、思春期真っ只中の方、また思春期のお子さんを持つ親の方に読んでほしいです。

 

3冊はまるで違う人生を送っている人々です。皆必死に生きて考えています。

 

1.蟻の菜園〜アントガーデン 〜   柚月裕子


蟻の菜園 -アントガーデンー (角川文庫) [ 柚月裕子 ]

 バツイチのフリーライター今林由美は、駅ホームの情報サイトで、ふと目に留まった記事「車中練炭死亡事件 詐欺容疑で女逮捕 」 。これを見た事から、事件を追う事にします。出版の津田さんと協力をしながら謎解きにかかっていきますが、次々と難題にぶつかってしまい、思うように進みません。そこに、ひとりの名前が挙がります。一体、円藤冬香とは誰なのでしょうか?

 由美になった気分で読めます。まるで読み手が事件を追っているかのようで、次は何を追えばよいのか?と終始ハラハラします。そこがあまり感じた事がないので、面白味を感じました。

 

 話があちこちの場所や事件に飛びますが、きっちり伏線を回収をするあたりは、さすがです。

不幸な生い立ちの早紀と冬香、この姉妹を救いたかった、悲しいと私は思いました。幸せをつかみかけたのに、なぜその様な行動をしたのか?何となくわかるような気にもなります。

 

 東尋坊の命の電話ボランティアの与野井さんの仕事は、尊敬します。現場で直接関わっているからこその選択だったのではないでしょうか。

 

 しかし、相談された役所の小森美幸といい、ほかに手段は本当になかったのかしら?とさえ考えてしまう、深い作品です。不条理さを感じるこの作品は、重い心にずっしりくるミステリー。タイトルも読んで納得いです。必見ですよ!

 

2,鏡の弧城   辻村深月

 表紙のミステリアスさとファンタジーを兼ね揃えた絵に、まず魅了されました。もう、一気読みです。

 私は辻村さんの作品では、読んだのはこの本が初めてでした。それからはまってしまい、読み漁りました。

 

 描かれているのは、悩み多き思春期の子供たち。一人ひとりが悩みが違って、そして深い深い悩みを持っています。一人ずつ、心の動きを丁寧に描いているところが、素晴らしいです。

 

 子供たち7人は、城を知り、そこで城の仲間になっていきますが、この7人にはある共通点が。

 世界はどうやって繋がっているの?約束したのに破られたとは、思えない、約束の場所にいなかった理由は一体なぜ?一番涙したシーンは、マサムネが登校した時でした。

 

 さあ、あなたはこの謎を解くことはできますか?まさにミステリーならではの、醍醐味。

 

 不登校児や不登校児を持つ親に、そして学校の先生にもぜひ読んでほしいです。

 

3.夢にも思わない  宮部みゆき

 シリーズものなので、ぜひこの前に「今夜は眠れない」を読む事を、おススメします。

 


夢にも思わない (角川文庫) [ 宮部みゆき ]

 20年前から白河庭園で行われている虫聞きの会。そこを舞台に繰り広げられるミステリー。思春期の恋心のような、淡い話ではありません。結構重苦しい話です。

 

 好きなクドウさんから、虫聞きの会に行くと聞いたので、僕は行く気になったのです。その虫聞きの会の出来事から、話が始まります。

 なんと、そこではクドウさんそっくりの従姉の身に何が起きたのでしょうか?

 

 僕は親友の島崎と、犯人探しを始めます。絵の上手い同級生にモンタージュを描かせたりと、この辺までは可愛らしい探偵ごっこのような感じで、楽しんで読み進める事が出来ます。

 

 調べを進めていくうちに、従姉妹の名前は森田亜紀子さんといい、パラダイスのスタッフと判明します。パラダイスのちらしに写っていたのは、正月に親戚集まって撮った写真の一部が切り取られたクドウさんだったのでした。

 

 一体誰の仕業か?そして畑山は、会社から何を持ち出して追われているのか?

 

 スピード感があり、後半は終始ハラハラドキドキ。庭園のかぎが壊されていて中へ入ると、銃声が!ぼくは植え込みから飛び出して逃げて、ある人からかばんを託されたけれども、捕まってしまって。

 さあ、この先は?僕は無事に逃げられるのか?犯人は?

 

 人から恨まれる事は、恨みをかうほどの余程の原因があるのだと、よくわかりました。

 一見不良に見えるからといって、何をしてもよいというのは私もおかしいと思いました。

 人って怖い。人を売る神経にただただ驚きました。まさかの真実に、びっくり仰天。

 見た目だけで人を判断しがちですが、反省します。人を見る目を養いたいですね。

 

まとめ

 壮絶な人生だったり、そこに救おうと手を差し伸べてくれる人がいたり。理解してくれようとする人がいる事に、安心します。そして、思いもよらない形で人から恨みを買うこともあるのだと、知りました。色々考えさせられる3冊、おススメです!