asagi diary

浅葱色が好きな筆者が、夢中になる絵本や小説のこと、猫のことを発信する雑記ブログ

元祖水中写真家 中村征夫さんの厳選4冊!

f:id:asagikun:20190612213018j:plain

  私が高校生の頃に知った、水中写真家の中村征夫さん。ダイビングの世界では、ボンベを背負って潜行して、体内血中窒素があるから浮上してはいけないだとか今では常識である。しかし、まだその様な事がわかっていない時代から潜っておられるのだ。第一人者といっても、過言ではないのではなかろうか。

 私も昔はかなり潜っていたし、水中写真は趣味で撮っていたのでその難しさや素晴らしさを、少しは感じることができる。一人で暗闇に潜っていると、ふと怖くなったり船の音が響いてドキッとする事がある。色々な思いをしながら撮ったのだろうと、勝手に思考を膨らませながら見る写真は、いづれも魅了されるのだ。皆さんもぜひ、水中の世界を垣間見てはいかがでしょうか。必ず見てよかったと思いますよ。

 

1.海中顔面博覧会

 まず、タイトルがかなり素晴らしい。タイトルを見た瞬間、何てすごいのだろうと関心した。まさに顔面の博覧会である。センスがいい。

 そして、私の好きな魚の正面を見ると、やはり愛おしくなる。水中写真って、魚を真正面から撮るのはかなり難しいのだ。魚はかなりすばしこくて、人間を警戒しているから、尚更だ。

 一枚一枚が、まるで額縁に入れてある絵のように美術品に見えてくる。海の中はこんなにも美しくて、色彩溢れているのかと驚愕の連続である。もちろんストロボをたいているからこれだけ色どり豊かだが、ストロボなしだとまた様子が違ってくるのだ。

 私が魚の中で最も好きな種類は、カエルウオ系やギンポ系である。この写真集には、カエルウオの仲間が載っていて、なんともキュートなのでぜひご覧いただきたい。何か喋りたげである。

 魚が身近に感じてもらえるので、一押しの写真集。おススメです!

 

2.全・東京湾

  中村征夫さんが、昭和52年から東京湾の取材を開始した奇跡が載っている。

 当時ヘドロまみれの東京湾を、一人で潜って撮ったのはすごいと思う。しかもこの時はまだかなり東京湾が汚れている。雨天では視界がゼロの時もある中、挑んだ作品である。

 ダイビングすら、まだ浸透していない時代。通りすがりの人は、一体何をしているのだろうと思っていたのではないだろうか。

  ヘドロの中でも、きちんと命は育まれていて人間から我が子を守ろうとする姿は、とても共感がもてる。魚も人間も同じなんだなと。漁業についても写真付きで詳細が書かれているので、必見。

 本書と、海中顔面博覧会をあわせて、第13回木村伊兵衛賞を受賞。

 

3.海の中へ

  30年間撮り続けた写真の中から、選りすぐった写真。海外の海もたくさん載っている。海の美しさだけではなく、最後の方は怖さも感じられるのは、私だけであろうか。また、私は深い所に潜ったあと、浅い所へきてイソギンチャクやクマノミに出会うとホッとするのだが、そのホッとした気分に近いように感じられたのが、ジュゴンの写真。背中のスクリュー跡だろうか、痛々しい。

 私は水中と地上がレンズで半々になるように撮るのだったり、水中から空を撮るのが好きなのだが、この写真集でもその様な構図がある。そしてかなり美しい。

 また、海の青と言っても濃紺から青、藍色、水色、白に近い水色や浅葱色など様々である。この世の物とは思えない非常に神秘的で美しい海の色を、珊瑚のシルエットに映し出された写真は、最も好きな作品である。これを見逃したら、損しますよ。ぜひ堪能してください。

 

4.僕が帰る場所

  沖縄を愛するのが、写真から見てもよくわかる。写真は全て白黒なのも、味があってよい。ガジュマルの写真は、迫力あるから好きだ。

 これらの写真を見ていると、コンパクトカメラを持ち歩きたくなる。しかし今は、この時代にはなかったスマホがあるから、わざわざコンパクトカメラを持ち歩かなくても手軽に写真が撮れるのだ。何とも便利な世の中になったものだ。しかもかなり性能が良いから、時代は変わったなとしみじみする。まあ、カメラの良さがわかる人やフィルム派は多少カメラが重くても、持ち歩くのだろうな。

 日常の一コマを、切り抜いた写真はなかなか面白い。おススメです。

 

まとめ

 これらの4冊は、全て違った毛色の写真なのも素敵だ。どれも似通っていると、つまらない。中村征夫さんが本当に海が好きで写真が好きで、美しい海も汚れている海も知っているのだなと感じた。もう70歳を過ぎているのに、いまだ潜って活躍している姿は本当に素晴らしい。見習いたいものである。